【林星一さん】生活保護と生活困窮者自立支援〜第33回介護職カフェ@やまと
林星一さん(座間市福祉部生活援護課自立サポート担当)を講師にお招きし、「生活保護のケースワークの実際と生活困窮者自立支援を考える」というテーマでお話をして頂きました。林さんは、生活困難者自立支援全国研究交流大会の部会でパネリストを務められるなど、この分野をリードする役割を自治体においてになっていらっしゃる方です。
会場は立ち見が出るほどで、外は3月中旬としては冷え込んでいましたが、会場内は熱気に包まれていました。
1.生活保護の基本を整理する
「生活保護」−この用語を知らない人はおそらくいないと思います。でも、その内容をしっかりと把握している人は結構少ないのではないでしょうか?
「生活保護を受けながらパチンコに行くのはけしからん!」と言った生活保護に対する風当たりは厳しいですが、そういう人は本当にたくさんいるのでしょうか?
むしろ、日本の生活保護の捕捉率は世界的にみても低いと言われることもあります。
感覚ではなく、データや理論でしっかりとその実際を把握する必要があると思います。林さんは法令やデータを用いて、客観的な生活保護の現状を示してくださいました。
制度に関することにも誤解があったりします。例えば、持ち家があったり、多重債務を抱えていたりすると生活保護を受けられないと考える人もいますが、多重債務は受給要件には関係がなく、持ち家に住んでいるからといって受給できないという事ではないとの事でした。
2.生活困窮者自立支援について知る
生活困窮者自立支援は、生活保護制度で行なっていた自立支援の理念も踏襲しているとのことでした。ただ、生活保護が法定受託事務と自治事務で構成されているのに対し、生活困窮者自立支援制度はすべて自治事務であり、どのように制度を活用するかは自治体の裁量に任せられているところが多いとのこと。
まだ始まったばかりの制度であり、マンパワーが不足しており、どの自治体でも支援計画の作成などが追いついていない状況であるとのことでした。
人としての尊厳を大事にしながら支援をしていくことが大切。そしてもう一つ大切なことは「まず受け止める」こと。制度の間で困っている人こそが生活困窮に陥っていることが少なくないからです。
地域における包括的な支援体制、それが制度が目指すもの。
3.レシートの内容からわかることがある
生活困窮者自立支援制度の中に、家計相談という事業があります。
全国での取り組みの中では例えば、レシートをチェックするとマヨネーズばかり買っている人がいて、よくよく調べてみると知的障害であることが判明したという事例があったとの事。探偵みたいな作業ですが、ちょっとした情報を見逃さない姿勢が支援員として大切だということがわかります。
生活保護制度と生活困窮者自立支援制度という大きなテーマを短い時間でわかりやすくお話をして頂き、懇親会でも林さんを囲んで有意義なお話をすることができました!